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週刊新潮 七月二十四日
「石原良純の楽屋の窓 」
258回
朝のヒーロー

 テレビ局の廊下を歩いていると、思いもよらぬ出会いがある。先日、僕はメーク室の前で、ガチャピンが電話をしているところに出くわした。
 大きなお目々に出っ歯が可愛い黄緑色のガチャピンは、背中のキザギザを見ての通り南の島で生まれた恐竜の子供。年齢は、永遠に五歳なのだそうだ。
 三等身のずんぐりむっくりな体型を侮ってはいけない。彼は、サーフィンだって、スキューバダイビングだって、スキーだってできる。ロシアの宇宙船ソユーズで宇宙旅行をしたこともあるヒーローだ。
 ガチャピンと僕のツーショット写真を見せれば、ウチの長男・良将も、長女・舞子も大喜び、父親の株がグッと上がるに違いない。
 きけばガチャピンは、活躍の場を地上波からBS波に移しているそうだ。『ひらけ!ポンキッキ』に始まって、何度か名前を変えながら三十余年続いた番組は、朝は子供番組よりも情報番組という時代に、BSフジの『Beポンキッキ』となった。
 小さな子供の頃の僕の楽しみは、日本テレビの『おはよう! こどもショー』を毎朝、観ることだった。にんじんが大好きなロバくんの中には、実は愛川欽也さんが入っていたと知ったのは随分と後のことだ。
 ♪熊さんも寝ました うさぎさんも寝ました 皆、寝たかな♪というのは冬山の冬眠の設定。で一瞬、音が消える。次の瞬間、曲の調子がガラリと変れば雪解けの景色。テレビの前の僕らは、床からバッと立ち上がり部屋を走り廻っていた。
しゃぐ弟達を醒めた目で見ていた。
に動き廻るだけの僕らに比べて、格段に難しくなったフリをしっかり習得する今の子供は僕らより、ずっとリズム感が優れているようだ。
『おかあさんといっしょ』を観ていると、歌の数が多いことにも驚く。
という言葉が嫌い。歌って踊るのは女の子の遊びだと思い込んでいた。
 歌のおにいさんとおねえさんは子供達の憧れの的だ。この三月で番組を卒業した今井ゆうぞうおにいさんと、はいだしょうこおねえさんが、長嶋一茂さんと僕で司会する『お茶の間の真実』(テレビ東京・月曜夜)にゲスト出演した時、一茂さんはちゃっかり三歳の双子の娘さんをスタジオに連れて来ていた。「NHKホールの公開収録に応募しても、滅多に抽選に当たるものではない。こんな機会を逃す手はない」と、一茂さんに諭された。
に軽く嫉妬したり。
を買いにくる。これさえあれば、僕の天気予報は適中率百パーセントということか。どうやら良将も、天気に興味があるようだ。
 家に帰って写真を見せると良将が、「本当に、ガチャピンはいるのだ」と目をまん丸くして驚いた。その横で舞子が「なんで、ムックはいないの」と怒っている。
 ムックは、ガチャピンの相棒で赤毛におおわれた雪男の子供。舞ちゃんは、なんでも赤いものが好きなんです。

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