週刊新潮 九月二十五日
「石原良純の楽屋の窓
」
266回
秋の決意
ここのところ、兄の姿をテレビでよく見かける。
廻りの皆は、「痩せてますね」と兄を誉める。母親からは「伸晃はあんなに痩せているのだから貴方も気をつけなさい」と電話が入る。とんだ、とばっちりだ。
「僕もういいよ。太っちゃうといけないから」とウチの長男・良将は、食事のトレーを押しやる。「太るわよ」「食べ過ぎよ」食卓で妻が僕へ繰り返す小言が、彼の脳裏に刷り込まれているからに違いない。
君はいいのだ、もっと、もっと食べなさい。夏のプールで日に焼けた黒くて細い体は、正しく”ゴボウ君”なのだから。
確かに、夏休みの間じゅう放送されていた『中井正広のブラックバラエティ』(日本テレビ系・日曜夜)の水泳大会で、僕の水着姿は相当いけていなかった。
カメラを意識して下っ腹をキュッと持ち上げていなければポコリと前に出てしまう。でも、ペコちゃんの頬っぺのように膨らんだ脇腹の肉は隠しようもない。
だから僕は、今年も元日の朝から、駒沢公園のジョギングコースを猛然と走り始めた。だが、体重が落ちはじめたところで、花粉症に邪魔された。
この夏も早起きしてジョギングに勤しもうと思ってた。でも、ラジオ体操に行きたがる良将や舞子に付き合って走る時間を逸した。
ダイエットに言い訳は付き物だ。そして、決意と挫折の繰り返しと相場が決まっている。
ダイエットの失敗の原因は、無理をするから。ならば無理せず痩せられる方法を伝授しようというのが、『ドリーム・プレス社』(TBS系・金曜夜)の四時間超大型企画『Dー1コンテスト』。女性タレントにダイエットを実践してもらい、その成果をお見せする。
まず一つ目は、以前にも紹介した、自分が口にした物を総て記録するだけで痩せる”レコーディング・ダイエット”。
アメ玉を一つ口にしてもメモ帳を取り出して記入する。そんなめんどうまでしてアメ玉は食べたくなくなる。めんどうくさがりの僕は、このダイエット法を信じているが、めんどうくさくて一日で挫折した。
”コアリズム・ダイエット”は、ラテンダンスをベースにして腰を徹底的に動かし、脂肪を燃焼させ、くびれのある体を作る。ビリーズブートキャンプの女性版といったところだ。
”加圧トレーニング”は、血流を適度に制限しエクササイズすることで、ハードな運動時と同じ筋肉の状態を作り出す。成長ホルモンの分泌が促進され、脂肪が燃焼されるという。
なるほど、額に汗するエクササイズ系ダイエットは理解できる。でも、なかには僕には真偽が疑わしく思えるものもある。
”食べ合わせダイエット”は、食事制限することなく、食べたい時には、さらに何か一品加えることで痩せられるというもの。
例えば、ラーメンの前には野菜ジュース。豚しゃぶの前には、ごま油。新陳代謝が促進され、脂肪の吸収が緩やかになる。
”朝バナナ・ダイエット”は、朝食代わりにバナナを好きなだけ食べるだけでいい。あとは昼食、夕食はもちろん、おやつにも、何を、どれだけ食べても構わない。バナナの消化酵素が、余分な脂肪を効率良く燃焼させてくれる。
ダイエットとは、脂肪を燃焼させるか、燃焼しやすい体に変えるか、摂取しないか。
ならば僕は、やっぱり燃焼系か。早起きを怠らず、朝っぱらからガンガン走ろう。それも、ただ走るのではつまらないから目標を設定しよう。
ちょうど、十月十九日の『金沢百万石ロードレース』に招待されている。五キロレースなどといわず、メインのハーフマラソンを走るとするか。
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